ウェーサーカ祭祝辞

Message for Wesak Celebration 2005(B.E.2499)

2005年東京ゴータミー精舎で開かれた「ウェ-サーカ祭」に
マレーシア・シンガポール仏教管長のスリ・ダンマーナンダ大僧正からいただいた祝辞です。


(スリ・ダンマーナンダ大僧正は2006年8月31日にご逝去されました)

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 聖なる三大事のウェーサーカ祭に、日本の皆様方にご挨拶の言葉を述べる機会をいただくことは、私にとって大変喜ばしいことです。なぜかといいますと、禅仏教の国として世界で名高い日本の仏教徒の皆様方が、テーラワーダ仏教僧である私に、挨拶を依頼してくださったからです。これは重要なことで、禅仏教も大乗仏教もテーラワーダ仏教も、お釈迦さまが説かれた唯一の真理から現れたものであることを、今日の仏教徒たちが真に理解している一つの証だと私は思っております。


 21世紀の初頭、世界はこれまで以上に緊迫した状況に陥っています。そのような中、私たちは文化や教義の違いを越えて本質的なところで協調しなければなりません。通信技術が発達したため、世界は非常に狭くなり、ある地域で起こった出来事が地球上のすべての人にまで影響を及ぼすようになりました。これによって歴史上のどの時代よりも世界には怒りや憎しみ、欲望がはびこっています。

 このように多くの苦悩に直面している中、平穏で心やすまるお釈迦さまの幸福のメッセージだけが、唯一、人類の心の痛みを癒すことができるのです。

 そこで、仏教徒として私たちが為すべきことは、悪い感情に打ち克ち、互いに協力し合って、人類に「慈悲の心」を伝えることです。
 お釈迦さまの教えに対して異なる見解を持ち、宗派に別れて対立することもできますが、互いに仲良く協力することもできるのです。このことは過去において幾度も証明されてきました。千年以上も前、仏教徒たちはインドのナーランダーで共に学びました。近年では、偉大なるアナガーリカ・ダルマパーラ師(Anagqrika Dharmapqla)が仏教を復興するためにインドで奮闘していたとき、日本の仏教徒たちは強力な支援をされました。私たちは再び協力し合うことができますし、また協力する必要があります。
 

 2004年に起きた大地震による津波被害の犠牲者を救援するために、私たちはいかに結束し、協力したことでしょう。 

 ウェーサーカ祭の吉日にお贈りする私からのお祝いの言葉は、私たちは互いに心を一つにして全力を尽くそうということです。どんな宗派であろうと、私たちは皆、正自覚者である釈迦牟尼仏陀の子なのです。自分のものとは異なる他の宗派や文化をもつ人たちを非難する必要はありません。私たちは多様性の中で互いに協力し合い、努力することができるのです。

 この目的を実現するためにご尽力されている皆さまに、この場をお借りして、心からの祝福をお送りいたします。皆さまのご成功とお幸せを心よりお祈り申し上げます。 

皆さまがご健康で、お幸せでありますように

生きとし生けるものが幸せでありますように

 マレーシア・シンガポール仏教管長

キリンデ・スリダンマーナンダ大僧正

翻訳:出村佳子